「こんなに時間をさいて原稿を書いたのに原稿料って、これだけなの?」原稿料と仕事量が見合っていないことで、不満を感じているライターは多いのではないでしょうか。
ひと口にライターといっても「フリーライター」「Webライター」「在宅ライター」などがあり、それぞれ発信の場所が違ったり、働き方の違いで原稿料も大きく違ってきます。今回は、各媒体ごとの原稿料の相場やギャラ交渉についての実際の方法について説明します。
出版業界の原稿料の相場
出版業界の原稿料の相場は、いまだに原稿用紙換算というところが多いです。個人的に知っている最低単価で、400字で4000~5000円です。もちろん、著名人となければ何万円となる方もいます。
原稿依頼の時点で「およそ何文字くらい書いて欲しい」と文字量を提示され、それ対して400字でいくらかという原稿料の説明があります。しかし、レイアウトによって文字量が増減したり、内容が削られて文字数が減るという場合もあります。
掲載された文字数によって原稿料はカウントされます。これはわたしが知っている、コラムやエッセイなどの原稿料です。書籍ベースは、請負の業務委託契約で印税契約という形が多いです。
雑誌ライターの原稿料の相場は、ページ単価です。記事構成から取材・原稿執筆・納品まででおよそ1万~2万円。記事のみであれば、5000円~。著名人のインタビューなどはページ単価も高額になります。
どこまでがライターの仕事なのかきちんと確認しなければ、編集を兼ねてしまうので重要なところです。医療系などの専門誌はもっと単価が高いこともあります。
Web業界の原稿料の相場
Webライターでも、フリーライターとして活動している人と在宅ライターでクラウドソーシングでライティングする人とでは、大きく原稿料が変わります。それぞれの原稿料の相場を説明していきます。
Webライターの原稿料
原稿料10万円という著名なライターもいますが、それはほんのひとにぎりです。Webライターの原稿料の相場は、出版業界よりも低く安い傾向にあります。
最低限でも読み応えを重視する記事を書くならば、3000文字以上5000字は必要です。その場合、1本あたり安くて一般的に10,000~20,000円前後。
自分の名前がクレジット記載されるようながニュースサイトでは、原稿料が2~3万円というところもあります。
クラウドソーシングの原稿料
クラウドソーシング原稿料の相場は、1文字○円で換算です。0.5円~2円ないし3円が一般的です。3円以上は、基本的に専門分野に特化した記事(法律・マーケティング・金融・医療など)になります。
紙媒体では400字で4~5000円ですから、とにかく安いというのがわかります。
ただ在宅ライターは取材の必要がなく、記事構成も必要なし、編集者の文字修正などもほとんど入りません。その分単価が安い傾向にあります。
リーガルチェックがしっかりしているWeb媒体は、文字の統一や修正もあります。そして、単価も上がりやすい傾向にあります。
フリーライターの年収は、働き方によって大きく違ってきます。ライターの年収については、別の記事でまとめていますので合わせて参考にしてください。
ギャラ交渉ってアリなのか?
原稿料の相場を基準にして、依頼を受けた仕事が通常よりも安いと感じたり、仕事量の割りに安いと感じることがあると思います。
その場合、実際にギャラ交渉がありかなしかといえば、「あり」です。ただ、駆け出しライターが息巻いて単価アップを持ち出すと大幅な修正を求められたり、記事として使えないといわれてしまうこともあるので気をつけてください。
また、交渉しても原稿料が一律で変えられないというクライアントもあります。いわないよりいってみるというのが、結論です。
わたしが体験したマンガ家さんとの契約の話なんだけど。
マンガ家の原稿料の相場ってどうなの?
詳しくはわからないけど、新人で1枚5000円~7000円という話は聞いたことがあるわ。
わたしが雑誌をやっていたとき、1ページ17000円というマンガ家に原稿を依頼したことがあるんだけど。飛ばされたことがあってね。
え。俗にいう「落とした」ってやつ?
次号予告に新連載スタートとうたっていたにも関わらず、原稿が間に合わなかったのよ。
全国誌でそんなことあるんだ
わたしも担当として失敗したと思ったわ。
事前にページ単価交渉をしておきながら、原稿を落としたの!?
ページ単価を聞いてびっくりしたわよ。どういう交渉をしたのかは、編集部との契約だからわからないけど。アシスタント料も込みかと思ったわ。なのに、連絡しても返事はないし、期日すぎても謝罪もないし…
で、どうしたの?
契約してるから、切れないし。散々よ。次号から掲載するって1ヶ月延期してもらいました。それでも描かせるのは至難のわざで。とくに1回目の原稿は、3時間おきにマンガ家に進行状況を確認してた
そんなに大変なの?
わたしよりマンガ家の方がずっとギャラをもらってるのに、四六時中つきっきり!絵が下手だから何度も書き直してもらってさ。
絵が下手って?
へのへのもじみたいな、雑な絵を書いてくるの。印刷したら雑すぎて掲載できないレベルよ
怖すぎる。。。
クライアント側はできるだけ安く制作したい。ギャラ交渉はいわば「賭け」なのよ。売れてもうかればギャラアップしてよかったと思えるけど、結果論よね。こうして新人に吹っかけられて、裏切られる危険性だってあるわけ
お互いトラブルにならないよう、ギャラの交渉をする前にライターとして厳守することがあります。
納期を守らない、守れないライターは相当数います。いい原稿を書くライターほど納期に遅れがちだったりもします。だからといって遅れていいわけではありません。
ギャラ交渉において、上記のような「信頼関係」を築けないライターとは長く続きません。まずは、「いい原稿を書くこと」「正しい原稿を書くこと」など、クライアントとの信頼関係を作ることが大切です。
ギャラ交渉の方法
実際にギャラ交渉をするときは、この仕事を受けたいかどうかが大きなポイントになってきます。もしan・anから依頼がきたら、破格の安さでも受注するのと同じことです。
けれど、取材費込みで3000文字以上5000円ではやはりどう考えても、まったく割りに合いません。そんなときの交渉の方法を考えてみました。
みなさんおおむねこのような交渉を行っているかと思いますが、まだ交渉なんてしたことがないという人のためにひとつずつ説明していきたいと思います。
単純に原稿料を上げてもらう
原稿料を5000円から7000円にしてください。という交渉です。2000円アップしたからといって、割りに合うわけではないですが、せっかく依頼された案件です。できれば受けたいけれどという前提で、取材時間と執筆時間、その他の確認作業を含めて見積もりを出してみましょう。
本来ならば、このくらいの労働時間がかかる原稿の場合10000円の原稿料をいただいているのだけれど、お互いの折衷案として7000円はどうですか?という交渉方法です。
クライアントがライターの作業工程を理解していないことも考えられるので、一度自分の労働時間を時給で換算して、先方に提案すると労働量にどれだけ見合ったいないかが理解してもらえると思います。
ここでの交渉はライターがどれだけ大変かという作業量を見せるのではなく、交渉するための資料のひとつとして時給を算出します。間違っても「これだけかけて書いてるんだ」というようなマウンティング材料にならないようにしましょう。
原稿量を増やして割増してもらう
できれば、事前交渉が望ましいです。依頼原稿が3000文字という規定があった場合、取材先の記事がもっとおもしろくかけそうなら、文字量を増やすことで原稿料をアップして欲しいと交渉してみましょう。
この場合、「もしも」「~できたら」という形で交渉するのがベター。
規定では3000字だったけれど、「5000字でよりおもしろい記事が仕上がりました」という納品の形で報酬アップを検討してもらいましょう。
この手法は、掲載範囲が固定されている紙媒体では効果がありません。Web媒体では、掲載ページという決まりがないので、記事が多くかけたからといって記事が添削されることはほとんどありません。いい記事であれば全掲載してもらえるので、交渉もしやすいのではないでしょうか。
原稿の数を増やしてもらう
これも事前交渉が望ましいです。一旦原稿料の交渉をして、もしダメだったらときのワンチャンス!という交渉術です。原稿料はそのままで本数を増やしてほしい、という交渉をしてみましょう。
この原稿料でお受けする変わりに、今月御社で10本書かせてもらえますか?
という具合です。
単価が安いのであれば、数をこなさなければ収入になりません。まとまった本数をもらえることが前提となければ、収入も可視化できます。
応じて、取材時間や執筆時間を調整することもできます。同じ企画で取材先が違う場合は、実質的に作業効率はどんどんアップしますし、もっとこんな話を聞いてみようと連載ごとにスキルもアップしていきます。
インセンティブを交渉する
こちらは「結果」重視の報奨金です。掲載したWeb原稿が目標を達成したら、報奨金が支払われるという方法です。
実際に目標達成すると、プラスして報酬を支払ってくれるクライアントはたくさんいます。これは結果論なので、実力が数字に現れてクライアントも支払いやすい方法です。
クラウドソーシングでは、このようなインセンティブ報酬がついている場合があります。たくさん記事を書ければ、プラス報酬。PVが目標を達成したらプラス報酬などの案件を探してみるといいでしょう。
まとめ
原稿料が相場より安い場合は、結果として「ギャラ交渉」はするべきです。ダメ元でやってみる価値はあります。いずれも契約前に交渉するのがベター。仕事はただ受注するのではなく、依頼を受けるひとつひとつは「大事な縁」だと思って、コンスタントに続けられるギャラ交渉を心がけましょう。
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